【2026年最新版】健康経営に利用できる補助金・助成金完全ガイド

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「施策を進めたいけれど、予算が気になる」「外部ツールの費用対効果を社内で説明しにくい」健康経営に取り組む企業が増えるなか、そうお悩みのご担当者さまも多いのではないでしょうか。

そんなときに心強いのが、国や自治体が用意している補助金や助成金です。制度を上手に活用することで、施策導入のコストを抑えながら、従業員の健康づくりと働きやすい職場環境の整備を進めることができます。

本記事では、2026年の健康経営に活用しやすい、補助金・助成金をはじめとする支援制度をまとめました。これからの施策計画にぜひご活用ください。

  • 本記事の内容は、2026年2月時点の公開情報に基づいています。補助金・助成金・支援制度の条件や名称は年度ごとに変更されることがありますので、申請前に必ず公式サイトで最新情報をご確認ください。
目次

団体経由産業保健活動推進助成金

「産業医に常駐してもらうのは難しいけれども、健康経営の取り組みを強化したい」という企業に検討していただきたいのが、団体経由産業保健活動推進助成金です。

団体経由産業保健活動推進助成金は、特定の業界団体や商工会などの事業主団体に所属している企業が、その団体を通じて産業保健活動の支援を受けられる助成金です。企業から直接申請することはできませんが、所属団体がこの助成金に申請していれば、外部の産業医・保健師などによるメンタルヘルス支援や健康相談、ストレスチェック実施などの施策を実現しやすくなります(図表1参照)。

図表1 団体経由産業保健活動推進助成金の助成のしくみ

出典:厚生労働省「団体経由産業保健活動推進助成金のご案内」より引用

対象となる施策

下記をはじめ、幅広い産業保健サービスが助成の対象です。2025年度からは、常時使用する労働者が50人未満の事業場に限り、対象となる産業保健サービスに「ストレスチェックの実施及び集団分析」が追加されました。

  • ストレスチェック+集団分析
  • 保健指導
  • 面談指導・意見聴取
  • 健康相談対応
  • 職場環境改善支援
  • 健康教育研修 など

上限額・助成率

500万円を上限として、かかった費用の総額の90%が助成されます。1団体につき年度ごとに1回限りの申請となり、一定の要件(構成事業主が50以上であることなど)を満たした団体は上限が1,000万円に引き上げられます。2025年度からは、対象となる産業保健サービスごとに20万円から130万円の上限額が設定されました(図表2参照)。

図表2 団体経由産業保健活動推進助成金の対象となる産業保健サービスや上限額

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対象となる産業保健サービス上限額(一定の要件を満たした団体の上限額
医師、保健師等によるストレスチェックの実施及び集団分析60万円(120万円)
医師、歯科医師による健康診断結果の意見聴取60万円(120万円)
医師、保健師による保健指導60万円(120万円)
医師による面接指導・意見聴取60万円(120万円)
医師、保健師、看護師等による健康相談対応20万円(40万円)
医療機関、事業場、両立支援コーディネーター等による個別の労働者を対象とした治療と仕事の両立支援130万円(260万円)
医師、保健師、看護師等による職場環境改善支援130万円(260万円)
医師、保健師、看護師等による健康教育研修、事業者と管理者向けの産業保健に関する周知啓発20万円(40万円)

対象となる企業

中小企業事業主が過半数を占める事業主団体・共同事業主や、労災保険の特別加入団体などが対象となります。まずは、自社が所属している団体が団体経由産業保健活動推進助成金に申請しているかどうか、事務局などに問い合わせてみましょう。

業務改善助成金

業務改善助成金は、生産性向上に貢献する設備投資を行うとともに、その企業内の最低賃金を一定額以上引き上げた場合に、設備投資にかかった費用の一部を助成する制度です。

健康経営の観点では、デスク周辺やテレワーク環境など、オフィスの整備や働きやすさ向上のための取り組みに活用できます。 賃金の引き上げと健康経営の推進を同時に進め、組織の持続的な成長を目指す企業に最適な助成金制度です。

対象となる施策

対象となるのは生産性や業務効率の向上に貢献する設備投資などで、業種によってさまざまな施策が考えられます。健康経営の観点では、下記のような施策が該当します。

  • 作業環境の改善に役立つオフィス家具(例:デスク・チェア)や機器の導入
  • テレワークで使用する設備(例:パソコン周辺機器)の導入
  • 人材育成や教育訓練などの健康施策の推進に必要なツールの導入 など

特例事業者の要件

物価高騰要件に該当する特例事業者には、対象となる経費の幅が一般の事業者より拡充されるという優遇措置も設けられています。以下のいずれかに該当する場合、特例事業者として扱われます。物価高騰等要件(②)に該当する場合は、通常は対象外となる「定員7人以上の自動車の導入」や「パソコン等の新規導入」が認められる場合があります。

  1. 賃金要件申請事業場の事業場内最低賃金が1,000円未満である事業者。
  2. 物価高騰等要件原材料費の高騰等の外的要因により、申請前3か月間のうち任意の1か月の利益率が前年同月比で3%ポイント以上低下している事業者。

助成率・助成上限額

助成率は申請を行う事業場の、引き上げ前の事業場内最低賃金によって変わります。

図表3 業務改善助成金の助成率

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1,000円未満1,000円以上
4/53/4

図表4 業務改善助成金の助成上限額

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コース区分引き上げる労働者数右記以外の事業者事業場規模30人未満の事業者
30円コース
(30円以上引き上げ)
1人30万円60万円
2〜3人50万円90万円
4〜6人70万円100万円
7人以上100万円120万円
10人以上※120万円130万円
45円コース
(45円以上引き上げ)
1人45万円80万円
2〜3人70万円110万円
4〜6人100万円140万円
7人以上150万円160万円
10人以上※180万円180万円
60円コース
(60円以上引き上げ)
1人60万円110万円
2〜3人90万円160万円
4〜6人150万円190万円
7人以上230万円230万円
10人以上※300万円300万円
90円コース
(90円以上引き上げ)
1人90万円170万円
2〜3人150万円240万円
4〜6人270万円290万円
7人以上450万円450万円
10人以上※600万円600万円
  • 「10人以上」の区分は、特例事業者が10人以上の労働者の賃金を引き上げる場合のみ対象となります。

対象となる団体

業務改善助成金の対象となるのは、以下の①と②の両方を満たす中小企業・小規模事業者です。その際、大企業と密接な関係を有する企業(みなし大企業)でないこともポイントとなります。過去にこの助成金を活用した事業者も対象となりますが、同一事業場の申請は年度内1回までとなります。

① 中小企業・小規模事業者の定義

以下の業種区分に該当し、なおかつ「資本金額又は出資総額」または「常時使用する労働者数」のいずれかを満たす中小企業・小規模事業者がこの助成金の対象となります。

業種区分資本金額又は出資総額常時使用する労働者数
小売業(小売業、飲食店など)5,000万円以下50人以下
サービス業(物品賃貸業、宿泊業、医療、福祉、複合サービス事業など)5,000万円以下100人以下
卸売業1億円以下100人以下
その他の業種(農業、林業、漁業、建設業、製造業、運輸業、金融業など)3億円以下300人以下

② 賃金に関する要件

事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差額が50円以内であることが条件となります。地域別最低賃金とは、国が毎年10月頃に改定する都道府県単位の最低賃金額のことです。

たとえば、2025年の東京都の地域別最低賃金は時間額1,226円に決定しました。そのため、今後東京都で業務改善補助金への申請を行う事業者は、事業場内最低賃金が1,226円+50円=1,276円以内である必要があります。

もちろん、地域別最低賃金は地域によって異なるうえ、毎年変わっていくものです。補助金申請時に限らずこまめに最新情報をチェックし、自社の事業場内最低賃金が地域別最低賃金を下回らないように注意しましょう。

人材開発支援助成金

企業が従業員に対し、職務に関連した専門的知識・技能を習得させるための職業訓練等を実施した場合に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部等を助成する制度です。健康経営では、メンタルヘルス対策や健康増進、ハラスメント防止をテーマとする研修などの座学・実習を実施する際などに、この助成金を活用できます。

対象となる施策

健康経営を推進するためには、社内の健康経営人材が必要不可欠です。人材開発支援助成金は、こうした社内人材を育成するための研修にかかる運営費や健康経営関連の認定資格取得費、健康管理システムの導入に伴うIT操作研修、社員が自発的に健康関連のセミナーや資格取得に行くための休暇制度の整備などに活用できる制度です。

コース名健康経営での活用イメージ
人材育成支援コースメンタルヘルス・マネジメント検定対策、食育アドバイザーなどの専門知識習得
事業展開等リスキリング支援コース健康管理システムの導入に伴うIT操作研修や、最新のウェルビーイング経営への転換に必要な学習
教育訓練休暇等付与コース社員が自発的に健康関連のセミナーや資格取得に行くための休暇制度を整備

助成率・助成上限額

1. 人材育成支援コース

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支給対象となる訓練等訓練種別賃金助成額 (1人1時間当たり)賃金要件等を満たす場合※A経費助成率賃金要件等を満たす場合※AOJT実施助成額 (1人1コース当たり)
人材育成訓練OFF-JT800円 (400円)1,000円 (500円)45% (30%) ※B60% (45%) ※B
認定実習併用職業訓練OFF-JT800円 (400円)1,000円 (500円)45% (30%)60% (45%)
OJT20万円 (11万円) / 賃上げ時 25万円 (14万円)
有期実習型訓練 ※COFF-JT800円 (400円)1,000円 (500円)75%100%
OJT10万円 (9万円) / 賃上げ時 13万円 (12万円)
  • A 賃金要件等: 訓練修了後に5%以上の賃上げ、または資格手当等の支給+3%以上の賃上げを実施した場合。
  • B 非正規雇用労働者の場合: 人材育成訓練を非正規労働者に実施した場合、経費助成率は70%(賃上げ時 85%)に引き上げられます。
  • C 有期実習型訓練: 正規雇用への転換等を条件に経費助成率が引き上げられました。
  • ( )内は中小企業以外の助成額・助成率です。
「OFF-JT」「OJT」って何?

「OFF-JT」が職場や通常の業務を一時的に離れて行われる教育訓練であるのに対し、「OJT」は職場の現場で、実際の業務を通じて行われる教育訓練のことです。健康経営の文脈で「メンタルヘルス研修」や「食育セミナー」を実施する場合は、基本的に「OFF-JT」として計画を立てることになります。

項目OFF-JTOJT
場所仕事の現場を離れる仕事の現場で行う
主な形態講義、セミナー、eラーニング実務を通じた直接指導
助成金の特徴ほとんどのコースで経費・賃金が対象特定の「実習併用型」メニューのみ対象

2. 教育訓練休暇等付与コース

制度の内容経費助成額賃金要件等を満たす場合
教育訓練休暇制度等の導入30万円36万円

3. 人への投資促進コース(令和8年度末までの時限措置)

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支給対象となる訓練等訓練種別賃金助成額 (1人1時間当たり)賃金要件等を満たす場合経費助成率賃金要件等を満たす場合
高度デジタル人材訓練OFF-JT1,000円 (500円)75% (60%)
成長分野等人材訓練OFF-JT1,000円75%
情報技術分野認定実習併用OFF-JT800円 (400円)1,000円 (500円)60% (45%)75% (60%)
定額制訓練OFF-JT60% (45%)75% (60%)
自発的職業能力開発訓練OFF-JT45%60%
長期教育訓練休暇制度1,000円 (800円)賃上げ時設定なし20万円24万円
  • ( )内は中小企業以外の助成額・助成率です。

4. 事業展開等リスキリング支援コース(令和8年度末までの時限措置)

支給対象となる訓練等訓練種別賃金助成額 (1人1時間当たり)経費助成率
事業展開等に伴う訓練OFF-JT1,000円 (500円)75% (60%)
  • ( )内は中小企業以外の助成額・助成率です。

対象となる団体

業務改善助成金の対象となるのは、以下の①と②の両方を満たす中小企業・小規模事業者です。

① 中小企業・小規模事業者の定義

以下の業種区分に該当し、なおかつ「資本金額又は出資総額」または「常時使用する労働者数」のいずれかを満たす中小企業・小規模事業者がこの助成金の対象となります。

業種区分資本金額又は出資総額常時使用する労働者数
小売業(小売業、飲食店など)5,000万円以下50人以下
サービス業(物品賃貸業、宿泊業、医療、福祉、複合サービス事業など)5,000万円以下100人以下
卸売業1億円以下100人以下
その他の業種(農業、林業、漁業、建設業、製造業、運輸業、金融業など)3億円以下300人以下

② その他の要件

  • 雇用保険の適用事業主であること 助成金の財源は雇用保険料であるため、雇用保険に加入し、適切に保険料を納付している必要があります。
  • 「職業能力開発推進者」を選任していること 社内で社員のスキルアップを推進する担当者を決める必要があります。職業能力開発推進者になるために特別な資格は不要ですが、届出が必要です。
  • 「事業内職業能力開発計画」を策定・周知していること 会社として「どのような方針で人材育成を行うか」という計画書を作成し、従業員に知らせている必要があります。
参考文献

厚生労働省「人材開発支援助成金

補助金・助成金を活用する際のポイント

多くの補助金・助成金制度は「施策をこれから実施する場合」が対象です。事後的な申請では適用されないことが多いため、 計画を立てたタイミングで事前申請をしておきましょう。また、同一の費用について、複数の補助金を同時に使うことは基本的にできません。どの施策にどの補助金・助成金を活用するかの優先順位を決めることが重要です。

また、補助金・助成金では計画に基づいた施策実施が重視されます。いざ申請が受理されても、提出したスケジュール通りに施策を完了できなければ、遅延分の費用は対象外となってしまいます。申請前に施策実行に必要な資金・人員・設備・ツールなどを整え、計画通りに施策を進められるように準備しておくことが大切です。また、申請が受理されて施策がスタートしたあとも、適切にスケジュール管理を行いましょう。

補助金・助成金の活用で持続可能な健康経営を

健康経営を「理想」で終わらせず、実行可能な施策として根づかせるためには、コストのハードルを下げる支援制度の活用が有効です。補助金や助成金をうまく使うことで、少ない予算でも効果的な取り組みが可能になります。

2026年は、制度の改定や新制度の登場も予想されます。自社の状況や目的に合わせて複数の制度を検討し、計画的に申請していくことをおすすめします。補助金を活用しながら、健康的な職場づくりと持続可能な健康経営を進めていきましょう。

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執筆者

Webライター兼Web編集者。「情報の正確さ」と「読者の共感」を両立させられるコンテンツ制作に努めます!趣味は音楽鑑賞とスイーツを食べること。お気に入りの音楽とスイーツに囲まれながら、在宅で仕事をしています。

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