審査要件から必要書類、申請方法まで解説!「健康経営優良法人」認定取得ガイド

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健康経営への注目が高まる中、多くの企業が「健康経営優良法人」認定を目指しています。しかし、単なる福利厚生とするのではなく、従業員の健康を経営的視点で捉え、生産性向上を目指す戦略的な取り組みが不可欠です。この記事では、認定制度の概要や審査要件、認定を経営成果に直結させるまでのプロセスを解説します。

※この記事の内容は2026年6月時点の情報をもとにしています。申請の際には必ず公式サイトに掲載されている最新の情報をご確認ください。

監修者紹介

健康経営支援サービス ビズリフレ 健康経営エキスパートアドバイザー
大住 奈保子(おおすみ・なほこ)

1984年、京都府生まれ。大阪市立大学(現:大阪公立大学) 文学部哲学歴史学科卒業。出版社勤務を経て2015年にフリーの編集者・ライターとして独立。2017年に株式会社Tokyo Editを設立し、代表取締役に就任。ソフトウェア開発や企業の集客に役立つWebコンテンツ制作、リラクゼーションサロンの運営などの事業を展開する。2023年に健康経営関連をはじめとした資料作成代行サービス「at DOCUMENT(アットドキュメント)」、2025年に企業向け出張整体を手がける「整体サロンwarm forest」と健康経営支援サービス「ビズリフレ」を開始。健康経営エキスパートアドバイザー(認定番号:EX25003961)として、デジタルとアナログの両面から企業の健康経営を支援している。2026年5月、株式会社Tokyo Editの社名を株式会社ビズリフレに変更。

目次

制度の目的と認定メリット

健康経営優良法人認定制度は、地域の健康課題に即した取り組みや、日本健康会議が進める健康増進の取り組みを基に、特に優良な健康経営を実践している法人を顕彰する制度です。目的は、従業員の健康管理を経営課題として捉える企業を社会的に評価する土壌を作ることです。

健康経営優良法人として認定される主なメリットは、以下の通りです。

【健康経営優良法人の認定メリット】

  • 採用・離職率の影響:働きやすい環境として企業価値が向上する
  • 金融・公共調達面:一部の地方銀行等で融資金利の優遇や、公共調達での加点評価が受けられる
  • 対外的な信頼度向上:健康経営に取り組む企業として、取引先や求職者へのブランド力が強化される
参考文献

自社が目指すべき区分を知る

健康経営優良法人認定には、大規模法人部門と中小規模法人部門の2つがあり、さらにその中で「ホワイト500」「ブライト500」などの上位ランクが存在します。業種によって区分の基準は異なるため、自社がどの区分に該当するか確認することが重要です。

【健康経営優良法人の区分】

区分従業員数資本金または出資金額
大規模法人部門
(ホワイト500含む)
卸売業・サービス業:101人以上
小売業:51人以上
製造業その他:301人以上
規定なし
中小規模法人部門
(ブライト500、ネクストブライト1000含む)
卸売業・サービス業:1人以上100人以下
小売業:1人以上50人以下
製造業その他:1人以上300人以下
卸売業:1億円以下
小売業・サービス業:5,000万円以下
製造業その他:3億円以下
※中小規模法人部門は「従業員数」「資本金または出資金額」のいずれかに該当することが要件となります。

以下の具体例を参考にして、自社がどの区分になるかを確認してみてください。

  • 従業員80名、出資金額1,000万円の「サービス業」の会社の場合
    • 従業員数が100人以下、または出資金額が5,000万円以下という条件を満たしているため、「中小規模法人部門」に該当します。
  • 具体例2:従業員120名、出資金額3億円の「卸売業」の会社の場合
    • 中小規模法人の上限要件(従業員100人以下、または出資金額1億円以下)をどちらも超えているため、「大規模法人部門」に該当します。
参考文献

経済産業省「健康経営優良法人認定制度

健康経営優良法人認定事務局「部門の区分

どのような要件を満たせば認定が取れるのか?

認定を取得するためには、部門ごとに定められた必須要件や選択要件をクリアしなければなりません。大企業はより高度な経営戦略との連動が、中小企業は健康経営の土台作りがそれぞれ重視されています。

項目大規模法人部門中小規模法人部門
大前提「健康経営度調査」に回答すること所属する保険者(協会けんぽ等)の「健康宣言」事業に参加していること
必須要件・健康経営の最高責任者の明確化
・受動喫煙対策(敷地内全面禁煙など)
・50人未満の事業場でのストレスチェック実施
・法令遵守(労働基準法等)
・健康づくり担当者の設置
・受動喫煙対策(屋内全面禁煙など)
・法令遵守(労働基準法等)
評価・選択要件「経営理念」「組織体制」「制度・施策」「評価・改善」の各フレームワークごとに設定された多数の設問に対し、一定水準以上のスコアを獲得すること「従業員の健康課題の把握」「土台づくり」「具体的対策」などの項目群の中から、規定の項目数(例:15項目中7項目など)を満たす施策を実施すること
※この表の内容は2026年6月時点の情報をもとにしています。要件は毎年度改定されるため、申請時は必ず経済産業省の最新ガイドラインを確認してください。

申請に必要な書類・記載情報・提出先

申請にあたっては、自社の取り組みを事実ベースで正確に報告する必要があります。部門ごとに必要書類や記載情報、提出先をまとめたので、確認してみてください。なお、現在は完全オンラインでの電子申請が基本となっています。

部門提出書類主な記載情報・粒度提出先・申請方法
大規模法人健康経営度調査票
(ExcelまたはWebフォーム)
・経営者の健康経営に対する方針や投資額
・具体的な施策内容(メンタルヘルス対策、運動支援など)
・効果検証の定量データ(健診受診率、有休取得率、喫煙率など)
ACTION!健康経営ポータルサイト(電子申請)
中小規模法人健康経営優良法人認定申請書
(ExcelまたはWebフォーム)
・法人基本情報、加入保険者名
・「健康宣言」の実施日
・各認定要件に対する「適合・不適合」のチェック
・一部の具体的な取り組み内容(50文字程度の簡単な記述)
ACTION!健康経営ポータルサイト(電子申請)

認定までのスケジュール例

健康経営優良法人の申請締め切りは、例年大規模法人が10月中旬、中小規模法人が10月下旬です。これに間に合わせるためには、直前になって慌てないよう、春先からの計画的なデータ収集と施策の実行が不可欠です。

【健康経営優良法人認定に向けた年間スケジュール例】

  • 4月〜6月(施策実行・準備)
    • 前年の結果分析や、本年度の施策(健康イベント、研修など)の実行。
    • 【中小規模法人のみ】未実施の場合は、所属する保険者へ「健康宣言」をエントリーする。
  • 7月〜8月(データ収集・ID取得)
    • 社内の健康関連データ(健診受診率、残業時間、ストレスチェック結果、有休取得率など)を各部署や産業医と連携して収集する。
    • 申請に必要な「ACTION!健康経営ポータルサイト」のアカウント(ID)を取得する。
  • 8月下旬〜9月(書類作成)
    • 最新年度の調査票・申請書が公開されるため、収集したデータを基に回答を作成する。
    • 必要に応じて取り組み内容の記述などが発生するため、担当者間でレビューを行う。
  • 10月(〆切・提出)
    • 経営層の最終承認を得て、〆切(大規模法人は中旬、中小規模法人は下旬)までにポータルサイトからオンライン提出を完了させる。
  • 翌年3月(発表)
    • 認定法人の発表・表彰が行われる。結果のフィードバックシートを受け取り、次年度の課題を抽出する。

認定は一度取得して終わりではなく、毎年の申請と継続的な改善が求められます。まずはスケジュールを逆算し、関係部署を巻き込んだ体制を作りましょう。

参考文献

審査でチェックされる5つの項目

健康経営優良法人の審査では、企業が取り組んでいる健康経営のプロセスが評価されます。特に以下の5つの項目が重要視されます。

【健康経営優良法人の審査でチェックされる5つの項目】

  1. 経営理念・方針の明文化:経営者自身の関与と、健康宣言の社内外への発信
  2. 組織体制の構築:担当部署の設置と、全社的な健康管理の推進体制の整備
  3. 制度・施策の実行:健康診断の受診率向上、メンタルヘルスケア、受動喫煙対策などの具体的な取り組みを実施
  4. 評価・改善:施策の効果を客観的に検証し、次年度の戦略へ反映する改善サイクルの確立
  5. 法令遵守・リスクマネジメント:労働基準法や労働安全衛生法の遵守、過重労働対策などの徹底

審査においては、特定の対策をすればよいというものではなく、健康経営を組織文化として定着させているかが問われます。

参考文献

健康経営優良法人認定事務局「健康経営優良法人2026(中小規模法人部門)認定要件

経済産業省「健康経営ガイドブック

施策を成果につなげる「健康経営戦略マップ」を作ろう

「健康施策をやってみたけれど、会社にどう貢献しているのか、いまいち成果が見えない」といった事態を防ぐために非常に有効なのが、「健康経営戦略マップ」の作成です。健康経営戦略マップという言葉を初めて聞く方のために、それがどのようなもので、どうやって作ればよいのかを解説します。

健康経営戦略マップとは

健康経営戦略マップとは、自社が健康経営を通じて解決したい「経営課題」と、それを解決するための具体的な「健康施策(健康への投資)」のつながりを、一枚の図解にまとめた設計図のことです。経済産業省が策定した「健康投資管理会計ガイドライン」において、その作成と活用が推奨されています。

健康経営戦略マップを作成することで、「なぜこの施策をやるのか」「どの数値を改善すれば、最終的に経営課題の解決につながるのか」というストーリーが目に見える形になります。そのため、経営陣が施策の費用対効果を納得しやすくなり、現場の従業員とも目的を共有しやすくなる点が作成のメリットです。

健康経営戦略マップの作り方

戦略マップを作ったことがない方は、「最終的なゴール(右側)」から「具体的な施策(左側)」へと逆算していく作り方がおすすめです。一般的には以下の5つのステップで整理します。

  1. 解決したい経営課題の設定:健康経営を通じて、最終的に解決したい自社の経営課題を決める。
  2. 健康関連の最終的な目標指標(KGI)の設定:1の経営課題を解決するために、従業員の健康状態がどうなればよいかを設定する。
  3. 従業員の意識変容・行動変容に関する指標の設定:2の指標を達成するために、従業員にどのような意識や行動の変化が必要かを設定する。
  4. 取組状況に関する指標(KPI)の設定:従業員の行動を変えるために、会社が提供する施策の利用・参加状況の目標を設定する。
  5. 具体的な健康投資(施策)の決定:4の指標を達成するために、会社が行う具体的なアクション(施策)を決める。

健康経営戦略マップの具体例

初めて戦略マップを作る際は、すでに公開されている他社の事例を見るのが一番の近道です。各社がどのような経営課題を設定し、それをどんな施策に落とし込んでいるか、以下の具体例をぜひ参考にしてみてください。

このように戦略マップを作成することで、継続的な予算配分や施策のブラッシュアップが可能になり、健康経営の実効性を大きく高めることができます。

参考文献

経済産業省「健康経営ハンドブック」 

経済産業省「健康経営ガイドブック

経済産業省「健康投資管理会計ガイドライン

三菱UFJ信託銀行 健康経営戦略マップ

SOMPOケア 「健康経営戦略マップ

丸紅「健康経営戦略マップ

認定維持のために必要なこと

健康経営優良法人の認定を維持し続けるためには、前年以上の取り組みと改善が求められます。特に「健康経営度調査」の回答内容は、定量的データに基づく客観的な進捗報告として重要です。

具体的には、以下の3点を継続的に実施しましょう。

  • 健診データの活用:経年での健診結果分析を行い、課題を明確化する
  • 社内広報の強化:従業員が健康に関心を持ち、自発的に取り組めるような社内啓発活動を展開する
  • フィードバックの活用:毎年送られてくるフィードバックシートを基に、課題を特定し次年度の改善計画へ反映させる

健康経営の推進において、現状維持は退化とみなされることもあります。常に一歩先の施策を検討し、従業員の健康リテラシーを高め続ける姿勢が、持続可能な健康経営の鍵となります。

参考文献

経済産業省「健康経営度調査について

健康優良法人の認定は「経営戦略の重要な過程」

「健康経営優良法人」への認定は、あくまで客観的な指標の一つに過ぎません。真の目的は認定ロゴを取得することではなく、従業員が心身ともに健康に働ける組織を作り上げ、企業の持続的な成長を実現することです。

認定取得を一つの節目として活用し、得られたデータやフィードバックを、組織の「健康的な経営」という土台作りへ投資し続けてください。健康経営は、長期的な経営戦略の重要な柱であり、今後も企業が存続・発展するための必須条件となっていきます。健康経営優良法人の認定取得は、その過程で得られる大きな自信と誇りとなるはずです。

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執筆者

Webライター兼Web編集者。「情報の正確さ」と「読者の共感」を両立させられるコンテンツ制作に努めます!趣味は音楽鑑賞とスイーツを食べること。お気に入りの音楽とスイーツに囲まれながら、在宅で仕事をしています。

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